ChatGPTプラグインとは
ChatGPTプラグインは、OpenAIのChatGPTに外部サービスやデータベースとの連携機能を追加し、その能力を大幅に拡張するツールでした。しかし、2024年4月9日をもってChatGPTプラグイン機能は正式に終了し、「GPTs」と呼ばれる新しいカスタマイズ機能に完全移行しました[^1]。
当初プラグインは、ChatGPTが単独では持ち得ない情報や機能へのアクセスを提供し、以下のような拡張を可能にしていました:
- リアルタイム情報の取得:最新のニュース、天気、株価など、学習データ以降の情報を取得
- 外部サイトとの連携:ショッピングサイトや予約サイトなどのサービスと直接連携
- 特定領域の専門知識の活用:特定の分野における専門的なデータベースへのアクセス
- データ解析と可視化:アップロードされたファイルの分析や処理
このガイドでは、プラグイン機能からGPTsへの移行の背景と、現在のGPTsでどのような機能拡張が可能になっているのかを解説します。
プラグインからGPTsへの移行について
2023年11月、OpenAIは「GPTs」(ジーピーティーズ)と呼ばれる新機能を発表し、2024年1月に「GPT Store」をオープンしました。これに伴い、従来のプラグイン機能は2024年4月9日に完全終了しました[^2]。
移行の理由と利点
OpenAIは移行の理由として、GPTsがプラグインよりも優れた方法でChatGPTユーザーにリーチできることを挙げています。GPTsは以下の点でプラグインより優れています:
- 直感的なカスタマイズ:ノーコードでAIをカスタマイズできるため、技術的な知識がなくても作成可能
- 統合されたユーザー体験:サードパーティが開発した機能をシームレスに利用可能
- 幅広いアクセシビリティ:GPT Storeを通じて多くのユーザーが簡単に機能を発見できる
- 開発者にとっての利便性:より簡単なAPI統合とユーザーへのリーチの拡大
この移行により、ChatGPTの拡張機能の概念は引き続き存在していますが、より使いやすく統合された形でGPTsとして進化しています。
GPTsの概要と特徴
GPTs(カスタムGPT)は、ChatGPTをより特定の目的に特化させてカスタマイズできる機能です。2025年現在、ChatGPT Plus(有料プラン)に加入しているユーザーならGPTsを利用できます[^3]。
GPTsの主な特徴
- ノーコードでカスタマイズ可能:プログラミングの知識なしで、自然言語による指示だけでオリジナルのAIチャットボットを作成できます。ChatGPTに「〜のような専門家になってほしい」と指示するだけで、特定の分野に特化したAIが作成できます[^4]。
- 外部サービスとのAPI連携:「Custom Actions」機能を通じて外部のAPIと連携し、ChatGPTに外部データを取得させたり、特定のアクションを実行させたりできます[^5]。例えば、天気予報APIと連携した天気情報取得や、CRMツールとの連携による顧客データ活用などが可能です。
- 知識ベースのアップロード:独自のデータや文書をアップロードして、そのデータに基づいた応答を生成できます。これにより、企業独自の情報や専門知識をAIに取り込むことが可能になります。
- 共有と公開機能:作成したGPTsを「プライベート(自分だけ)」「リンク共有(特定の人だけ)」「パブリック(GPT Storeでの公開)」から選んで共有できます[^6]。
主要GPTs(旧プラグイン)の紹介と使い方
2025年現在、人気の高い主要なGPTsをいくつか紹介します。これらは以前のプラグインの機能を継承または発展させたものです。
1. WebPilot(ウェブブラウジング)
概要: リアルタイムでWebページを閲覧し、最新情報を取得できるGPTsです。ChatGPTの知識カットオフ日以降の最新情報を調べる際に非常に有用です[^7]。
主な機能:
- 最新ニュースの取得
- 指定URLの内容要約
- 複数サイトの情報比較
- 公式データの参照
使い方:
- GPT Storeで「WebPilot」を検索
- 「チャットを開始」をクリック
- 「〇〇について最新情報を教えて」や「このURLの内容を要約して」などと指示
2. Wolfram(数学・計算処理)
概要: 高度な数学計算や科学的データ分析、グラフ作成などが可能なGPTsです。学術研究や数値計算に強みを持っています[^7]。
主な機能:
- 複雑な数学計算
- 科学的データの分析
- グラフや図表の生成
- 物理・化学などの科学的質問への回答
使い方:
- GPT Storeで「Wolfram」を検索
- 「〇〇を計算して」「〇〇のグラフを作成して」などと指示
3. Canva(デザイン作成)
概要: デザインプラットフォーム「Canva」と連携し、プレゼンテーションや広告素材などのデザイン制作を支援します[^8]。
主な機能:
- スライドテンプレートの提案
- ビジュアル素材の作成
- デザインアイデアの提供
- Canvaアカウントとの連携
使い方:
- GPT Storeで「Canva」を検索
- 「〇〇というテーマのプレゼン資料を作って」などと指示
- 提案されたテンプレートのリンクからCanvaで編集可能
4. PlugFinder / GPT Finder
概要: 目的に合ったGPTs(旧プラグイン)を検索・推薦してくれるメタGPTsです[^8]。数多くあるGPTsの中から最適なものを見つけるのに役立ちます。
使い方:
- GPT Storeで「PlugFinder」または「GPT Finder」を検索
- 「データの可視化に役立つGPTsを教えて」などと目的を伝える
5. SEO最適化ツール
概要: ウェブサイトのSEO分析や最適化提案を行うGPTsです。競合分析やキーワード提案なども行います。
主な機能:
- ウェブページのSEO分析
- キーワード提案
- メタタグ最適化
- コンテンツ改善提案
使い方:
- GPT Storeで「SEO」関連のGPTsを検索
- URLやキーワードを入力して分析を依頼
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業種・目的別ユースケース
GPTs(旧プラグイン)の具体的な活用例を業種・目的別に紹介します。
マーケティング・広報担当者
- コンテンツ制作支援:
- ブログ記事のアイデア出しと執筆補助
- SNS投稿の自動生成
- メールマーケティングのテンプレート作成
- 市場調査・競合分析:
- 最新のマーケットトレンド調査
- 競合他社のウェブコンテンツ分析
- ターゲット層の嗜好分析
- SEO・デジタルマーケティング:
- キーワード調査と最適化提案
- コンテンツSEO評価
- デジタル広告のコピーライティング
エンジニア・開発者
- コーディング支援:
- バグの発見と修正提案
- 最新の開発トレンドの調査
- ドキュメント生成とコードレビュー
- 技術調査:
- 最新のライブラリやフレームワークの調査
- コード最適化の提案
- テスト計画とテストケースの作成
- プロジェクト管理:
- タスク管理と進捗報告の自動化
- ユーザーストーリー作成支援
- 技術的な意思決定の支援
ビジネス・経営者
- 市場分析と戦略策定:
- 業界トレンド分析
- SWOT分析と競合比較
- 新規事業計画の策定支援
- 財務・会計:
- 財務データの分析と可視化
- 予算計画の最適化
- 投資分析と予測
- 人事・採用:
- 求人広告の作成
- 採用戦略の策定
- 研修プログラムの開発
教育・研究者
- 教材開発:
- 授業計画と教材作成
- 学習リソースの要約と整理
- クイズや問題の自動生成
- 研究支援:
- 文献調査と要約
- データ分析と可視化
- 研究提案書の作成支援
- 学術出版:
- 論文校正と編集
- 参考文献の整理
- プレゼンテーション資料の作成
GPTsの作成方法
独自のGPTsを作成する方法を解説します。ChatGPT Plusに加入していることが前提です。
基本的な作成手順
- アクセス方法:
- ChatGPTにログイン
- 左側のメニューで「GPTを探す」をクリック
- 「作成する」ボタンをクリック[^9]
- 初期設定:
- 名前:作成するGPTsの名前を設定
- 説明:GPTsの機能や目的を簡潔に説明
- 会話の開始者:最初に表示されるメッセージやユーザーが選択できる質問例
- 基本的なプロンプト設定:
- 「指示」欄に、GPTsの振る舞いや応答方法に関する詳細な指示を記入
- プロンプトは自然言語で記述でき、「〜のような専門家として振る舞ってください」などと指定可能
- 高度な設定(オプション):
- 「知識」タブ:独自のファイルや情報をアップロード
- 「アクション」タブ:外部APIとの連携設定
- 「機能」タブ:ウェブ参照、DALL·E画像生成、コードインタープリターなどの有効化
- 公開設定:
- プライベート:自分だけが使用
- リンク共有:特定のユーザーと共有
- パブリック:GPT Storeで公開(審査あり)
GPTs作成のコツ
- 明確な指示を与える:
- 具体的な役割や専門分野を指定
- 回答の形式やスタイルを明示
- 禁止事項や制限も明記
- 適切なファイルのアップロード:
- PDFやWord文書など、専門知識を含むファイルをアップロード
- ドキュメントは整理され、関連性の高いものを選定
- カスタムアクションの活用:
- APIの仕様書(OpenAPI仕様)を準備
- 認証方法やエンドポイントを正確に設定
- テストと改善:
- 作成したGPTsを実際に使用して動作確認
- フィードバックをもとに指示やプロンプトを改善
利用時の注意点とセキュリティ
GPTs(旧プラグイン)を使用する際の注意点とセキュリティリスクについて解説します。
情報セキュリティとプライバシー
- データの取り扱い:
- GPTsに入力した情報はOpenAIのサーバーに送信され処理されます
- 機密情報や個人情報の入力には注意が必要です
- GPTsによっては外部サービスにもデータが送信される場合があります[^10]
- アクセス権限:
- 外部サービスと連携するGPTsでは、そのサービスへのアクセス権限を求められる場合があります
- 必要最小限のアクセス権限のみを許可するよう注意しましょう
- 正確性の検証:
- GPTsが提供する情報は必ずしも100%正確ではありません
- 特に重要な意思決定には、複数の情報源で検証することをおすすめします
利用制限と課金について
- 利用前提条件:
- GPTsを作成・使用するには、ChatGPT Plus(月額20ドル)の契約が必要です
- 一部のGPTsは独自の課金体系を持つ場合があります
- 利用制限:
- GPTsによって利用回数や処理できるデータ量に制限がある場合があります
- APIと連携するGPTsでは、そのAPIの利用制限も適用されます
- 責任範囲:
- GPTsの使用によって生じた結果や損害についての責任はユーザーにあります
- 法的・医療的・金融的アドバイスなど、専門的判断が必要な場面での過度の依存は避けるべきです
まとめ:効果的な活用のヒント
GPTs(旧プラグイン)を効果的に活用するためのヒントを紹介します。
最適なGPTsの選択
- 目的の明確化:
- 具体的に何を達成したいのか明確にしてからGPTsを探す
- 複数のタスクがある場合は、タスクごとに適したGPTsを使い分ける
- 信頼性の確認:
- 開発者の評判や信頼性を確認
- レビューやフィードバックを参考にする
- プライバシーポリシーや利用規約を確認
効果的な使用方法
- 明確な指示:
- 具体的で明確な指示を与える
- 必要な情報はすべて提供する
- 意図が伝わらない場合は別の表現で試す
- 複数のGPTsの組み合わせ:
- 単一のGPTsで全てを解決しようとせず、複数のGPTsを組み合わせる
- 情報収集と分析など、異なる役割のGPTsを連携させる
- 人間による確認:
- GPTsの出力は必ず人間が確認する
- 特に重要な判断や創造的作業では、GPTsはあくまで支援ツールとして位置づける
今後の展望
GPTs(旧プラグイン)の機能は今後も進化し続けると予想されます。OpenAIはGPT Storeの成長に注力しており、より多様で専門的なGPTsが登場することでしょう。また、GPTsの作成者に対する報酬モデルも検討されており、質の高いGPTsの開発がさらに促進される可能性があります。
ChatGPTとGPTsを上手に活用することで、業務効率の向上だけでなく、新たな発見や創造的なアイデアの創出にもつながります。このガイドを参考に、ぜひご自身の業務やプロジェクトに最適なGPTsを見つけ、活用してみてください。
参考文献
[^1]: 「ChatGPTのプラグインは終了?代替ツールについても解説」, ビジネスコンシェルジュ powered by お名前.com, 2025年3月17日, https://www.onamae.com/business/article/12057/
[^2]: 「ChatGPT プラグイン機能、2024年4月9日に終了!「GPTs」に移行スタート」, ChatGPTの学校, 2025年2月4日, https://chat-gpt.school/chatgpt-plugins-end-april-9-2024/
[^3]: 「【2025年最新】ChatGPTの面白い使い方15選!」, AI総合研究所, 2025年2月24日, https://www.ai-souken.com/article/fun-ways-to-use-chatgpt
[^4]: 「GPTsの使い方とは?3つの特徴やできることも合わせて解説」, スキルアップAI Journal, https://www.skillupai.com/blog/ai-knowledge/about-gpts/
[^5]: 「ChatGPTの新機能GPTsとは?3つの特徴と使い方、活用法を解説」, Udemy メディア, 2024年8月31日, https://udemy.benesse.co.jp/development/system/chatgpt-gpts.html
[^6]: 「【My GPTsを作りながら解説】ChatGPTのプロンプト設計のコツ」, 株式会社カンリー 公式note, 2024年12月19日, https://note.com/canly/n/n0222a17d0323
[^7]: 「【2025年】本当に使えるChatGPTのおすすめGPTs(旧プラグイン)5選!」, romptn Magazine, 2025年2月5日, https://romptn.com/article/595
[^8]: 「おすすめのChatGPTプラグイン一覧!使い方や注意点もあわせて紹介」, スキルアップAI Journal, https://www.skillupai.com/blog/ai-knowledge/chatgpt-plugin/
[^9]: 「ChatGPT:GPTsの作り方ガイド簡易版 #初心者」, Qiita, 2024年11月19日, https://qiita.com/sharakus/items/1cb7941574b39782e90d
[^10]: 「【ChatGPT新機能】「GPTs(カスタムGPT)」とは?使い方や活用例5選を紹介!利用時の注意点まで徹底解説」, チャットボットのhitobo(ヒトボ), 2024年10月2日, https://hitobo.io/blog/chatbot-chatgpt_gpts/