ChatGPTプロンプトマスター講座:AIから最高の回答を引き出す質問術

ChatGPTに質問するときは、1回で完璧に書こうとするより、同じプロンプトを3回送り、答えが食い違った箇所を条件に書き足すほうが近道です。食い違いの多くは、プロンプトに書いていない判断を、ChatGPTが毎回違う形で補った場所だからです。書く内容は、使い道と読み手、役割と前提、出力の形、制約条件の4つです。価値ある回答を引き出せるかどうかは、質問の仕方、つまり「プロンプト」の設計次第です。
プロンプトに書くこと
プロンプトとは、ChatGPTに入力する指示や質問のすべてです。設計のしかたで、回答の正確さと使いやすさが変わります。書く項目は次の4つです。
使い道と読み手
例えば「東京観光について教えて」では、範囲が広すぎます。「3日間の東京観光で、歴史的名所と現代文化を体験できるおすすめのスポットを5つ紹介してください」と書けば、具体的な回答が返ってきます。期間、目的、件数が決まるからです。仕事なら、「営業メールを書いて」では足りません。次のように、目的と読み手まで書きます。
初回商談の翌日に送る、300字以内のお礼メールを書いてください。
読み手は購買担当の部長です。見積もりの返事をもらうことが目的です。
役割と前提
役割や専門家の立場を与えると、回答の視点と語り口が専門的になります。会社の規模、予算、これまでの経緯といった前提も、役割と一緒に渡します。役割だけでは、どの会社にも当てはまる一般論になりがちです。OpenAIの開発者向けガイドも、成功の条件を具体的に示すよう勧めています。
次の2つは、同じ役割で書いたプロンプトです。上は役割だけ、下は前提と合格の基準まで書いています。
あなたは経験豊富なマーケティングコンサルタントです。新規事業のSNS戦略について、最新のトレンドを踏まえたアドバイスをしてください。
あなたはマーケティングコンサルタントです。従業員30名のBtoBソフトウェア会社が、新規事業のSNS戦略を決めます。
広報担当1人が週3時間で回せる案を3つ出してください。
合格の基準は、月の費用が5万円以内で、最初の1か月にやることが書かれていることです。
出力の形
箇条書き、表、段落など、回答の形式を指定すると、情報を整理しやすくなります。表にするなら、列の名前まで書いておくと、読み返したときに比べやすくなります。
以下の内容を含む表形式でまとめてください:
1. 商品名
2. 価格帯
3. 主な特徴
4. ターゲット層
制約条件
文字数や、使うべき言葉と避けるべき言葉を決めると、回答の焦点が絞れます。社内向けの文書なら、「結論を先に書く」「専門用語を使わない」のように、読み手の事情から条件を決めます。
300文字以内で、専門用語を使わずに量子コンピューターの基本概念を説明してください。
テクニックの使いどころ
名前のついた技法のうち、仕事で毎回使うのは深津式とfew-shotの2つです。チェーン・オブ・ソートとReActは、使う場面が限られます。
深津式プロンプト
noteの深津貴之氏が考案しました。「#」などの区切りで役割、命令、条件を分けて書く形式で、条件だけを差し替えて使い回せます。基本の形は次のとおりです。
#命令書:
あなたは[役割]です。
以下の制約条件と入力文をもとに、[成果物]を出力してください。
#制約条件:
・[条件1]
・[条件2]
#入力文:
[材料にする文章や情報]
#出力文:
命令書の末尾に「足りない情報があれば、先に質問してください」と足しておくと、材料が足りないまま書き始めるのを防げます。
Few-shotプロンプティング
求める出力の例を2、3件見せる方法です。特定のフォーマットや文体で答えてほしいときに向いています。過去にうまくいったメールや議事録があれば、それを例にします。例が1件だと、形だけでなく内容や言い回しまで真似されがちです。内容の違う例を2、3件並べると、共通する形だけが残ります。最初は例なしで試し、形式や文体が合わないときに足します。
以下は[タスク]の例です:
入力: [例1の入力]
出力: [例1の望ましい出力]
入力: [例2の入力]
出力: [例2の望ましい出力]
それでは実際に答えてください:
入力: [実際の質問や課題]
チェーン・オブ・ソート(思考連鎖)
問題を小さな部分に分け、順に解かせる手法です。計算や条件の多い判断で、途中の考え方を人が確認したいときに向いています。一方、答えを出す前に内部で推論するタイプの「推論モデル」には、「段階的に考えて」と促す必要がありません。OpenAIの開発者向けガイドは、推論モデルにこの指示を足しても性能が上がらず、かえって下がることもあるとしています。使うなら、性能のためではなく、途中の判断を確認する目的に絞るのが現実的です。
[複雑な問題]について、段階的に考えて解決してください。
各ステップでの思考過程も含めて説明してください。
ReActプロンプト
ReActは、推論と、検索などの外部ツールを使う行動を交互に行わせる研究から生まれた方法です。「推論(Thought)」「行動(Action)」「観察(Observation)」の3ステップで進め、行動の結果が実際に返ってくる仕組みがあって成り立ちます。次のようなプロンプトに「Action」と書いても、検索が実行されるわけではありません。ChatGPTが実際に検索するかどうかは、検索機能が使える状態かどうかで決まります。
[質問や課題]について答えてください。
ただしThought(考え)、Action(行動)、Observation(観察結果)の順番で考えを進めてください。
調べさせたいときは、検索を使って答えるよう頼み、出典のURLを付けてもらいます。
[調べたいこと]について、ウェブ検索で確認できた事実だけを書いてください。
各項目に出典のURLを付け、確認できなかった点は「未確認」と書いてください。
よくある失敗
- 情報が足りない:「良いアイデアを教えて」のような漠然とした指示では、期待どおりの回答になりにくくなります。目的、条件、コンテキストを指定し、「低予算で実施できる、20代女性向けのオンラインマーケティング施策を3つ提案してください」まで書きます。背景や前提も先に渡します。「当社は従業員30名の中小企業で、BtoB向けソフトウェアを開発しています。現在のマーケティング予算は月20万円です。この条件で...」のような書き出しです。
- 質問の詰め込み:一度に複数の質問を入れると、回答が散漫になります。質問を分けるか、優先順位をつけて順に聞きます。
- 食い違う指示:「詳細に説明して」と「簡潔に」のように食い違う指示では、回答の方針が定まりません。指示の一貫性を保ち、必要なら優先順位を明確にします。
3回送って、食い違うところを書き足す
プロンプトが書けているかどうかは、自分で読み返しても気づきにくいものです。書いた本人には、省いた前提が見えないからです。確かめるには、同じプロンプトを3回送り、答えを並べて比べます。食い違った箇所を、条件として書き足します。
たとえば「取引先へのお礼メールを書いて」を3回送ると、1通目は150字、2通目は400字、3通目は見積もりの話まで入っていた、というように食い違います。この場合は、次の3つを足します。
300字以内で書いてください。
です・ます調にしてください。
見積もりの返事をお願いする一文を入れてください。
3回とも長さと構成がそろえば完成です。文章そのものまでそろえる必要はありません。
チームで使い回すプロンプトは、文面だけでなく、入力例と良かった出力を並べて残してください。文面だけでは何を合格とするかが伝わらず、使う人によって出来が変わります。
チームの社内Wikiに、AIのような賢さを
「その質問、また聞いてない?」
生成AIで情報を作るだけでは、チーム全体のナレッジにはなりません。「誰かが聞くたびにまた答える」。そんな状態を脱するには、社内に"賢いWiki"があることがカギになります。
AIが、忙しいあなたの代わりにSlack上の質問に回答します
最新の営業資料はどこにある?
最新の営業資料は、以下の場所にあります:社内共有ドライブの「営業資料」フォルダにあります。具体的なパスは「社内共有ドライブ > 営業資料 > 最新版」です。
会社の休暇ポリシーは?
社内ポータルにアクセスすると、今年の残りの休暇日数を確認し、希望する日付を選択できます。
「社内Wikiに書いてあるのに、また同じ質問をされた…」Slackでよくあるこの悩み、Kipwiseなら解決できます。
KipwiseのAI搭載ボットは、Slack上の会話から質問を自動で検出し、社内ナレッジに基づいて即座に回答。まるで社内専用のAIのように、チーム内の情報共有をサポートし、知識の定着と自己解決を促進します。
Slackを活用するチームにぴったりな理由
Kipwiseは、Slackを中心にコミュニケーションを行うチームにとって、非常にフィットするナレッジツールです。
- /kipwiseコマンドで、Slack上からナレッジの検索・作成が可能
- AIチャットボットが、社内ナレッジに基づいて質問に直接回答
- Q&Aのやりとりも自動でナレッジとして蓄積
さらに、Googleドキュメントやスプレッドシートとの連携もスムーズ。UIもシンプルで直感的なので、テンプレートの知識やコードは不要。誰でもすぐに使い始められます。
Slackを日常的に使っているなら、Kipwiseは最適な選択肢のひとつです。

作業別のテンプレート
[ ]の欄は、全部を埋めようとしなくて構いません。埋められない欄は消し、「足りない情報があれば、先に質問してください」と1行足します。空欄のまま送ると、ChatGPTが想像で補って書き進めてしまうことがあります。
情報収集・調査
[トピック]について、以下の観点から最新の情報を整理して教えてください:
1. 現状と背景
2. 主要なトレンドと動向
3. 将来の展望と課題
4. 参考になる事例や統計
回答は見出しを使って構造化し、それぞれ200字程度でまとめてください。
事例や統計には出典のURLを付け、確認できないものは載せないでください。
アイデア発想
[テーマ]に関する創造的なアイデアを[数]個考えてください。
条件:
- [対象者/市場]向け
- [リソース/予算]内で実現可能
- [目標/KPI]の達成に貢献する
各アイデアについて、コンセプト、実施方法、期待される効果を簡潔に説明してください。
文書作成・編集
以下の[文書の種類]を作成/編集してください:
目的:[目的]
対象読者:[対象]
トーン:[フォーマル/カジュアル等]
長さ:[文字数/ページ数]
含めるべきポイント:
- [ポイント1]
- [ポイント2]
- [ポイント3]
参考情報:[必要に応じて]
問題解決
以下の[問題/課題]について解決策を提案してください:
状況:[状況の詳細]
目標:[達成したい状態]
制約条件:
- [制約1]
- [制約2]
複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットも含めて説明してください。
職種別のテンプレート
経営者・管理職
以下の条件で新規事業の実現可能性分析を行ってください:
- 事業概要:[概要]
- 市場規模:[規模]
- 競合状況:[競合]
- 自社リソース:[リソース]
SWOT分析とともに、進出すべきかどうかの判断材料を提示してください。
マーケター
あなたはデジタルマーケティングの専門家です。
当社の新商品([製品詳細])について、以下の条件でSNSキャンペーンを企画してください:
- ターゲット:[対象層]
- 予算:[金額]
- 期間:[期間]
- KPI:[指標]
提案には、投稿スケジュール、コンテンツ例、期待される効果を含めてください。
[製品/サービス]のターゲットである[顧客層]に対するペルソナを作成し、
そのペルソナに響くマーケティングメッセージと適切なチャネルを提案してください。
営業・提案
あなたは[業界]のセールスコンサルタントです。
以下の製品・サービスについて、[顧客層]向けのセールストークを作成してください:
- 製品名:[製品名]
- 主な特徴:[特徴]
- 競合との差別化ポイント:[差別化ポイント]
特に[顧客の課題]を解決できる点を強調し、想定される質問への回答も含めてください。
プロジェクト管理
プロジェクトマネージャーとして、以下の条件でプロジェクト計画を立案してください:
- プロジェクト名:[名称]
- 目的:[目的]
- 期間:[期間]
- チーム構成:[人数と役割]
- 予算:[予算]
計画には、マイルストーン、リスク分析、必要なリソースを含め、ガントチャート形式で提示してください。
エンジニア・開発者
[プログラミング言語]で[機能の説明]を実装したいです。
以下の条件を満たすコードを作成してください:
- [条件1]
- [条件2]
コードにはコメントを付け、実装の考え方も説明してください。
人事・採用担当者
[職種]の採用面接で質問すべき効果的な質問を10個作成してください。
各質問が評価する能力や適性を明記し、回答を評価する際のポイントも添えてください。
最初に試すこと
いちばんよく使うプロンプトを1つ選び、今日3回送ってください。食い違った点を1つ書き足すだけで、次の回答がそろいやすくなります。
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